タングステン・モリブデン工業会

  3.用途

Ver 2.0
2006-6





 

3.用途

3.1 タングステンの用途


 タングステンもモリブデンも古くから使用されており、その意味では馴染みの有る金属材料である。特殊鋼への添加剤や高速度鋼のような鉄系等材料の機能発現用補助材料や、慣習的にはほぼ純粋なタングステン、モリブデン金属として用いられるところの、光源のフイラメント等、砲弾の一部部品材料、超硬合金の主原料などが、産業・生活向上の手立てとして脚光を浴び、利用されてきた。金属タングステン・モリブデンが当協会会員会社の主な生産品目である。

 最近になると、CPU(Central Processor Unit=中央演算処理装置)の放熱基板用部品への利用(熱膨張係数がシリコン半導体に近く、熱伝導率が鉄材より遥かに大きい。W&Moと銅などとの複合材利用が多い)、X線CT(コンピューテッドトモグラフイー)用回転陽極部品(タングステンフイラメントの加熱で発生する電子ビームが、本陽極にあたり医療での体内異常を検査するX線を放出)、携帯電話振動子用部品(Niなどの添加で液相焼結を起こさせ、タングステンの難焼結性・加工性を軽減した、有効振動を得られる微小化させた高比重部品)など更に産業に貢献する複合材・部品の創出が成された。環境汚染のギャングエレメントの一つとして名を馳せた鉛の代替材料の最優先候補としても、釣具・医療用遮蔽具などへの利用も盛んに進められている。さらには、民生用として、スキー板の防振、テニスラケットのバランサー、ゴルフボール、弦楽器のテールガットやエンドピンなどに用いられており、用途拡大の為の様々な試みが成されている。

 しかし一方、材料も部品も軽薄短小化が進み、取り扱いが難しいと判断している技術者の一部ではタングステン、モリブデンの利用に消極的な機運も避け難いケースもあるようで反省すべき点である。市場の要求に一層耳を傾け、加工技術・複合化技術の進展を図らなければならない。

 タングステンの組成を変えて数10μm程度の微小な球体にすると、高い剛性を保ち半導体回路検出用探針の面実装対応用プローブ端部品や摺動部品への可能性がみられる。
一方不純物を殆ど排除して前記球体を試作すると、数〜数10μmの変位・変形に対し復元性が見られる様相もあり、用途の広がりも期待出来る。

 最近活発に研究が進められている、ナノ粒子化の流れでも本材料は研究対象に上がっている。粒子に留まらず、それを用いた部品・デバイスへと検討が拡大して、後世に役に立つ材料開発、部品開発は何より本工業会にとって大切な任務の一つである。

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