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会報

ボディメイク

矢野金属株式会社
本社営業部 奥田 謙

第137号会報(2024年10月15日発行)

#寄稿

今回は、趣味が高じた挑戦について紹介させていただきたいと思います。

 

ボディメイクをはじめようとした切っ掛けは、2020年のコロナ禍による外出制限でした。運動不足解消のためにも自宅でできる運動はないかと思い、YouTube動画を参考に、見よう見まねで腕立て伏せのトレーニングをするところからはじまりました。

 

身体づくりは、運や偶然の要素が少なく、掛けた時間と労力がそのまま成果としてあらわれるところに難しさと面白みを感じました。また、トレーニングで扱える重量や回数が増えてくると達成感が得られるようにもなり、私はすっかりボディメイクの魅力に惹かれるようになりました。

 

トレーニング関連のSNSやYouTubeを眺めている時間も増え、失礼ながら少し気持ち悪いとさえ思っていたムキムキの筋肉に対して憧れの気持ちを抱くようになった頃、これまでの成果を一度「評価」してもらうため、コンテストに出場してみようかと思うようになりました。

 

ボディメイクコンテストは、例年全国各地で地方予選を兼ねた大会が開かれ、年代で分けられた参加者が競い合います。公表されている評価基準は、①健康美②引き締まった身体とバランスが取れたスタイル③顔の表情や表現力④ポージング⑤ウォーキング⑥品格や誠実さなど6つあるようです。私は、今年の4月地元京都で開催される大会の30代の部へ出場することを決めました。

 

コンテストへ出場するには、通常の筋肉トレーニングに加えて、「減量」といういわゆるダイエットが必須になります。筋肉の凹凸を際立たせるため、皮下脂肪を極限まで除去する作業です。私の場合は約10ヶ月間、少しずつ食事量を減らしながら、日々のトレーニングをこなしていきました。ただ、空腹状態が続くと、まとまった時間の睡眠が取れないようになり、準備期間中は高強度なトレーニングを続けることも大変でしたが、空腹や睡魔との闘いが最も辛く感じました。

 

減量最終期(大会1ヶ月前~2日前まで)の食事は、皮なし鶏胸肉400g、白ご飯400g、アーモンド10gを液状にして混ぜ込み、これらを1日4回に分けて摂取していました。食べるというより、栄養不足で筋肉が減ってしまうのをなるべく抑えるために「自身に餌を与えている」、というような感覚でした。通称「沼」と呼ばれている褐色のペーストをお昼ご飯として食するために、会社の冷蔵庫にはほぼ毎日餌が保存されていました。社員の皆さんが嫌な顔ひとつせず、挑戦を応援してくれていたことにも勇気づけられました。

 

コンテストの前日は水分と塩分を控え、白ご飯を10合(約3kg)食べました。できる限り多くの糖質を体内に蓄えておくことで、パフォーマンスの低下を防ぎ筋肉をより大きく見せるカーボアップという手法です。

 

大会の会場では、黒く日焼けしたムキムキの老若男女が集まっており、何処となく緊張感が漂っているような雰囲気でした。ステージにおいては、人生ではじめてスポットライトを全身に浴びながら、ポージングやウォーキングをしました。頭の中が緊張で真っ白になっていましたが、練習した通り最後までやり切ることができました。そして、結果はなんと、優勝(本コンテストではグランプリといいます)をいただきました。

 

グランプリという望外の喜びももちろんなのですが、私の厳しい食事制限やトレーニングで疲れた姿を心配してくれながらも、努力して挑戦することに対して好意的にサポートしてくれた家族への感謝が、真っ先に思い浮かびました。

 

コンテストが終わったら、すぐに食べようと思っていたのは牛丼でした。家族からは、お祝いを兼ねて皆で楽しめる食事を勧められましたが、牛丼が頭から離れることがなかったので、某有名チェーン店に駆け込んでいただきました。店内では誰よりも美味しそうに食べていたと思います。

 

ボディメイクをはじめてみて、そしてコンテストに挑戦してみて、学んだことは継続的に努力することの難しさです。しかし、継続できた場合、大きな成果を得ることができるということも学べました。一日だけトレーニングや減量をやってみるのは大したことではありませんが、昨日も、今日も、毎日続けることはとても大変でした。嫌になって、くじけそうになった時には、「大変なのはこの瞬間だけ。今までのことや、これからのことは一旦忘れて、今だけ頑張ろう」と自分に言い聞かせていました。これからの人生において、厳しい状況に置かれることもあるでしょうが、今だけ頑張ろうという考え方で乗り越えることができるのではないかと思えるようになりました。

 

コンテストへの出場は、家族に心配をかけてしまうことや健康面の不安から見送りますが、せっかくの筋肉を無駄にせず、何か他のことに生かせないかと考えながら、筋トレは続けていきたいと思います。

 

筆者は左から3番目
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