Environmental Initiatives 環境への取り組み
当工業会は、持続可能な素材であるタングステン・モリブデンの利用・活用・リサイクルを通じて、資源循環社会の実現に貢献しています。
Environmental Initiatives 環境への取り組み
CO₂削減のための再生可能エネルギー使用、リサイクル推進
クリーンエネルギー開発への取り組み
工業会として、SDGsの視点から各社種々環境影響対応を行っています。使用エネルギーの電力を再生可能エネルギーに切り替えることにより、年間約16,000MWhの電力切り替えにより7,700トンのCO₂削減を実現しています。1)
また、タングステン、モリブデンの製造におけるCO₂排出は、素材のリサイクルを行うことにより、下記「各製品のCO₂排出量」に記載のように、採掘、精錬で生じるエネルギー、CO₂排出を低減することができ、大きく削減することができます。各社によりレアメタルであるタングステンのリサイクルに取り組んでいます。2),3)
また、カーボンニュートラルに向けた地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出しない、エネルギー問題と環境問題を根本的に解決する恒久的なエネルギーとしての「核融合発電」の主要部品としてのタングステン部品の供給に寄与しています。4),5) 環境配慮製品の厳しい要求にも取り組んでいます。6)
このように、工業会としてCO₂削減のための取り組みを積極的に行っております。
国内でのタングステンリサイクル
タングステンのリサイクルプロセス
タングステンのスクラップ材は、超硬合金を中心に、交換工具の刃先を回収することによりリサイクルに活用され、一般的に湿式製錬するプロセスがとられています。1)
図(b)に一般的な溶媒抽出を用いたリサイクルプロセス 2) を示しています。
始めに、タングステンスクラップは炭酸ナトリウムや水酸化ナトリウムと高圧下で融解させて、Na₂WO₄水溶液を得ます。その後、Si、Mo等を沈降除去し、純度をあげ、更に高純度化するために溶媒抽出法を用いています。Na₂WO₄水溶液に対して、有機溶媒相となるケロシン、トリアルキルアミン、デカノールを添加、撹拌します。水溶液相は酸性になり、タングステンが陰イオンとして存在するため 2)、トリアルキルアミンとの陰イオン交換反応によって、アミン錯体として有機溶媒相に取り込まれます。
次に、純水で複数回洗浄することで不純物を除去します。最後にNH₃を添加し、パラタングステン酸アンモニウムとして水相中に逆抽出し、結晶析出によりパラタングステン酸アンモニウム粉末を得ます。このプロセスでは、タングステン1kgあたり34kgものケロシンを使用します。3)
一方、日本国内は、図(a)に示すイオン交換樹脂を利用したプロセス 4) であり、抽出剤、ケロシンを必要としません。そのため、溶媒抽出と比較して工程数が少なく、CO₂削減に寄与できます。本手法のリサイクルを加速させることにより、採掘・精錬でのケロシンの低減と、リサイクルで使用するケロシンの両方を減少させることができます。
出典
- 1) W-D. Shubert, B. Zeiler: ITIA Newsletter, Aug. (2019) 1-20.
- 2) J. Shibata, N. Murayama, M. Niinae, T. Furuyama: J. Japan Inst. Metals, 75 (2011) 613-619.
- 3) A. Furberg, R. Arvidsson, S. Molander: Journal of cleaner production, 209 (2019) 1126-1138.
- 4) T. Hayashi, F. Sato, K. Sasaya, A. Ikegaya: Bulletin of the JSTP, 1 (2018) 358-362.
Product consumption and CO₂ emissions
タングステン・モリブデン製品の
消費量とCO₂排出量
国内使用用途別消費量
-
タングステン 2020年の使用量
-
モリブデン 2020年の使用量
タングステン・モリブデン製品における製造工程のCO₂排出量(製品1kgあたり)
プロセス別CO₂排出量/金属1kgあたり
1kWh=0.49Kg-CO₂として算出
各製品のCO₂排出量(製品1kgあたり)
1kWh=0.49Kg-CO₂として算出
- タングステン合計
49.0kg-CO₂ - 超硬合金合計
21.7kg-CO₂ - モリブデン合計
19.6kg-CO₂
出典
- A. Furberg, R. Arvidsson, S. Molander: Journal of cleaner production, 209 (2019) 1126-1138.
- W. Wei, P. B. Samuelsson, A. Tillander, R. Gyllenram, P. G. Joensson: Journal of Sustainable metallurgy 6 (2020) 103-112.
- および工業会各社実績より