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『耐摩耗性と耐食性を兼ね備えた 新材料「MZⅡ」の開発』

日本タングステン株式会社
大塚 健嗣

第143号会報(2026年4月18日発行)

#技術紹介

1.概要

樹脂コンパウンドの製造には対向するスクリューの噛みあいによって混錬する二軸押出機が利用されている。
昨今の樹脂の高強度化や機能性付与の潮流により、二軸押出機のスクリューエレメントの摩耗や腐食の問題が浮き彫りとなっている。
この度、スクリューエレメントをターゲットに耐摩耗性と耐食性に優れた材料の開発に取り組み、新材料「MZⅡ」が誕生した。本報では「MZⅡ」の開発コンセプトおよび適用例を報告する。

 

2.MZⅡの開発コンセプトと開発材の評価

工業的に主に使用されている耐摩耗材料としてセラミックス、超硬合金、鉄鋼材料が挙げられる。
MZⅡは、それらの長所である①軽さ、②強度、③耐食・耐摩耗性をバランス良く備えることを目標に開発を進めてきた。 一般的な超硬合金は硬質相のWCをCoで結合した合金であるが、WCを80%以上含むことから高比重となっている。
そこで、まずは軽量化を目的として硬質相を比重が4.5のTiCへと置換した。 TiCとCoの結合強度はWCとCoのそれよりも劣るため、TiやWなどの元素を添加することでTiCとCoの間に中間層を形成させて結 合強度を向上させた。更に添加元素の種類と比率を調整することで、耐食・耐摩耗性を含めた3つの性質をバランス良く備えた材料を開発することが出来た。

 

3.MZⅡの物性と耐摩耗性・耐食性

MZⅡの物性を[1]に示す。一般的に二軸押出機部材で使用されているSKD11相当材とハステロイ相当材の物性も併記している が、MZⅡは鉄鋼材料よりやや軽い比重を持ちながら非常に高い硬さを有している。鉄鋼材料と比重が近く、磁力選別や金属探知も可能であることから置き換えが容易な材料であるといえる。

 

[1] MZⅡの物性

 

[2]にラバーホイール土砂摩耗試験による耐摩耗性(SKD11相当材比)、[3]にリン酸およびフッ酸10%水溶液に24時間浸漬した際の体積残存率を示す。

MZⅡはSKD11の3倍以上の耐摩耗性とハステロイ並の高い耐食性を持っており、これまでの材料にない特徴を有する材料を開発することが出来た。

 

[2] MZⅡの耐摩耗性

[2] MZⅡの耐摩耗性

 

[3] MZⅡの耐食性

[3] MZⅡの耐食性

 

 

4.まとめ

耐摩耗性と耐食性を高いレベルで併せ持つMZⅡの開発により、二軸押出機部材のみならず摩耗や腐食に晒される様々な用途への 展開が期待できる。

 

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