Newsletter 会報

会報

価値観について思うこと

株式会社 Niterra Materials
取締役 筒井 善仁

第141号会報(2025年10月15日発行)

#役員寄稿

当社は、2025年6月2日付にて親会社が株式会社東芝から日本特殊陶業株式会社に変更となり、株式会社 Niterra Materialsとして新たなスタートを切りました。

 

本原稿を書いているのは9月中旬ですので、新会社に移行して3か月が経過したところですが、すでにいろいろなことが変化しました。当社では、ユニフォームを着用していますので、それが新しいデザインになったことは、親会社が変わったことを強く実感すると共に、とても新鮮な気持ちになりました。その他、個人的には長年慣れ親しんできた赤と青を基調としたブランドカラーが、緑色に変わりました。それにより、随分印象が変わったと感じており、改めてブランド戦略の重要性を認識させられました。

 

一方で、あまり変わらないこともあります。日本特殊陶業株式会社では、Niterraグループにおける共有価値観として「Niterraウェイ」を定めており、それは「企業理念」、「基本姿勢」、「共有価値観」から構成されていますが、その内容は東芝グループが理念体系で定めている「経営理念」、「存在意義」、「価値観」の内容と表現は異なるものの、「人を大切にする」、「社会への貢献」といった基本的な考え方はとても似ています。このことは、当社で働く従業員にとって、とても重要なことであると思います。また、実際にNiterraグループの皆さんと接する中でも、価値観がとても近いと感じており、それによって大きな違和感なく事業や業務が継続できていることはありがたいことであると思っています。

 

私は、今回の親会社変更という大きな出来事を経験する中で、「価値観」について改めて考えさせられました。身近なところでは、世代や性別における価値観の違いは、いつの時代も様々な場面で話題になります。特に世代については、「今の若いやつは・・」と言われていた自分が、気が付くとそんなことを考えるようになっており、一人で苦笑いすることがあります。これは、私自身が年齢を重ねていく中で物の見方や判断基準が変わってきたのであろうと思います。

 

自身を振り返ると、子供の頃は「自分が楽しいかどうか」が重要であったように思います。少し成長すると、「親などの大人が褒めてくれる」ことも気にするようになりました。これは、子育てをしてきた親としての自身を振り返ると、子供に自分の価値観を押し付けて誘導しようとしていた面があったように感じており、今更ながらではありますが、もっと伸び伸びとさせてあげればよかったと反省しています(多くの方がそのように感じ、孫には甘くなるのでしょうか?)。その後、学校やサークルなどの組織に属するようになると、学校・社会のルール、友達・先生とのかかわりなど、自身を取り巻く環境が複雑化する中で、依然として「自分が楽しいかどうか」は判断基準のひとつではあったものの、新たに「友達のため」という価値軸が芽生えてきました。時には、自分を犠牲にしてでも他人のために行動する。これはとても大きな変化であり、その後、大人になって家庭を持ったり、会社に所属したりする中で「家族のため」や「仲間のため」といった利他の気持ちを持つようになりましたが、「友達のため」がそれらの原点になったように思われます。

 

先ほどお話した「Niterraウェイ」における「共通価値観」は、「独立自営」「素志貫徹」「至誠信実」「四海兄弟」の4つです。この内、「四海兄弟」は「世界中の人々は、すべて兄弟同様に仲よくし、愛し合わなければならない」という論語の言葉ですが、Niterraグループでは「世界の平和・共同幸福につながる事業となる」と定義されており、自分達の利益だけを考えるのではなく、周りの人たちのためになりたいという「共生の気持ち」を表した言葉であると理解しています。

 

現在、米国や欧州の一部において、自国ファーストというナショナリズムの考え方が強くなっています。日本においても、過日実施されました参議院選挙において自国ファーストを掲げる政党が議席を伸ばしました。政治家が仕掛けるナショナリズムは、政治的な手段のひとつであるようにも思われますが、それを受けて、個人がそうなってしまうことはとても危ういことであると思います。

 

私は海外経験が豊富ではありませんが、これまで接した中国、アジア、アメリカ、欧州の人たちは、皆さん思いやりがあり、本当に良い人ばかりでした。国家としては、様々な事情がありますので、時には極端な政策が選択されることもあると思いますが、企業や個人は「共生の気持ち」を共通価値観として持ち続けることができる社会であって欲しいと願うと共に、私自身、そうありたいと考えています。

一覧へ