Products
About us
Contact us

巻頭言
   「2023 年を迎えるにあたって」 (第130会報)
タングステン・モリブデン工業会
理事長 青木 克明

 2023 年の新春を迎え、タングステン・モリブデン工業会会員並びに関係各位の皆様におかれましては、健やかな新年をお迎えになられたことと謹んでお慶び申し上げます。また、平素より当工業会運営に関しまして、多大なるご理解、ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。

 昨年は、新型コロナの予防接種も進み、さまざまな経済活動も回復する中、ウクライナでの戦争、中国のゼロコロナ政策、円高の進行などもあり、物価も大幅に上昇しました。個人消費も停滞する中、全国旅行支援や水際対策の緩和などで人流も回復してはおりますが、個人や業界により対応や状況が分かれた年となったかと思います。

 さて、博報堂生活総合研究所が発表した、「生活者が選ぶ 2023 年ヒット予想」1)では、ヒット予想の上位には「安(安価や安心)」「近(近場、身近にあるもの)」「短(短時間・手軽に情報や成果を得やすいもの)」が多くランクインしており、2023 年は「攻めの安近短」がキーワードになると分析されていました。1位が国内旅行、2 位が有料動画配信サービス、3 位がフードロス削減、4 位がオンライン検診、5 位はeスポーツ、脱プラスチック、節電グッズなどとなっていました。これ以外で、私が気になったのは、9 位のEV、12 位のサービスロボット、28 位の自動運転・レベル3でした。一般の方のイメージでも様々なものが電子化され、EV が普及し、更には省資源・省エネ・脱炭素化が進むことが浸透しているものと思います。

 一方で、総務省が昨年11 月18 日に発表した10 月の消費者物価指数は、円安や資源高などの影響を受けて前年同月比3.6% となり、1982 年2 月以来、約40年ぶりの伸び率を記録。14 カ月連続の上昇となり、物価高に歯止めがかからない状態となっております。

 また、さまざまな経済予想を見ていると、「世界経済の減速で輸出は下振れ、景気の減速感が強まる見込み」と言うのが大方の見方で、様々な価格が高騰している状況ですが、一部では設備投資も好調であるようです。

 三菱UFJ リサーチコンサルティングの今年の経済見通し2)では、「景気回復のペースは鈍化するものの、腰折れには至らない」とされています。それは、雇用情勢の改善、賃金上昇が続くこと、企業の設備投資の増加が維持されることは景気にとってプラス材料となるからとのこと。さらに、年度後半に向けて物価上昇圧力が和らぎ、海外経済の減速に歯止めがかかれば、次第に景気回復の足取りもしっかりとしたものになってくるであろうとのことです。この予想通り、2023 年は、景気回復とポストコロナが進むことを願うばかりです。

 スポーツの分野では3月に野球のワールドベースボールクラシック、8月にラグビーワールドカップ、FIFA サッカー女子ワールドカップなどがあります。昨年のサッカー男子ワールドカップでの日本チームのような活躍の再現と経済効果等のご利益があるのではと大変期待するところです。

 さてタンモリ工業会では、前理事長の後藤様に行っていただいた工業会活動に関するアンケートに従い、現在の行事の見直しや活動の改革を進めているところです。DX 推進、サステナブル社会への取り組み等、会員企業同士の協力で進めていきたいと思います。また、ご存じのように今年は、前回1999 年に博多で開催されて以来25 年ぶりにInternational Tungsten IndustryAssociation(ITIA)の年次総会が日本で開催されます。おもてなしの精神を持ってぜひとも成功させたいと思います。関係する会員の皆様には大変ご苦労をおかけいたしますが、開催へのご協力をどうぞよろしくお願い致します。

 2023 年、令和五年は癸卯(みずのとう)です。「卯」は「春の訪れを感じる」という意味、また、「卯」という字の形が「冬の門が開き、飛び出る」という意味があると言われています。癸卯には、「これまでの努力が花開き、実り始めること」といった縁起のよさがあるそうです。

 今年こそは、ウクライナでの戦争が終わり、ポストコロナも進み、さらには工業会そして会員企業および皆様にとって飛躍の年となるよう祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

1)https://webtan.impress.co.jp/n/2022/11/02/43597
2)https://www.murc.jp/report/economy/economy_prospect/short/short_2211/
目次へ戻る