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技  術
  「放電プラズマ焼結(SPS)を用いたMo とグラファイトの接合
  (第125号会報)
東芝マテリアル株式会社
澤井 優輔

 1. 緒言
 Mo は高比重(10.2) で難加工材料のため,大型部品に適用する場合には,その他の材料と複合化して用いられることが多い.一般的に接合は,炉内へ接合体を投入し,ヒーターによる外部加熱で行っているが,昇温・冷却を含め時間を要する工程となっていることが課題である.そこで短時間での接合を行える方法として放電プラズマ焼結(SPS) 装置に着目した.SPS は,黒鉛ダイスに充填された粉末に圧力とパルス電流を加え,加圧力と試料の自己発熱を駆動力として焼結する方法であり,高速昇温や低温での焼結が可能なことを特徴とする.SPS 法では通常の焼結に加え,接合体や傾斜機能材料の作製に関する研究も進んでいるとの報告が鴇田らによりなされている(1,(2.今回,昇温速度を従来の半分以下で接合することを目的として,純Mo とグラファイトの接合にSPS 法を適用し,接合体の接合層断面観察により適切な接合温度の検討を行った.

 2.接合実験
 報告例を参考に,ろう材には54%Nb-Ti,Nb,Zr を用いた(3.純Mo,グラファイトは直径30mm,ろう材の厚みはNb-Ti が0.05mm,Nb は0.3mm そしてZr は0.2mm とした.通常加熱による接合は1900℃,加圧力・加圧時間をそれぞれ9kPa,10min であるが,今回はそれぞれ10MPa・10min とし接合温度は1600℃,1700℃および1800℃の3 条件にて行った.また,昇温速度は,約30 分で所定の温度まで到達するように設定し,接合部の評価として,EDX による元素分布測定を行った.図1 に接合体の模式図とEDX による元素分析箇所を示す.
   
 3.実験結果および考察
 各接合温度における接合層のSEM 観察像およびEDX による広域元素マッピング図を図2 に示す.
 

 図2 より,いずれの接合温度においても,3 つのろう材から成る接合層を形成していることがわかる.一方,1600, 1700℃で接合した接合体は出来栄えに差が認められなかったが,1800℃で接合した接合体では,200 μ m 程度の空隙が認められ,接合層の厚みも他に比べて約60% 薄かった.ろう材に用いたZr は20wt% のNb と1740℃で共晶反応を示すため,1800℃の接合においてZr 層は溶融すると考えられる.ろう材に含まれるガス成分がこの液相中を移動しながら凝集し,凝集ガスが外部に放出される前に接合体の冷却が開始したことで接合層内部に空隙として残ったと考えられる.また溶融したZr が10MPa の加圧力により接合体外部もしくはグラファイトに存在する気孔内に移動するため,1800℃での得られた接合体の接合層厚みは薄くなったと考えられる。以上より,Mo とグラファイトの接合にSPS を用いることで,従来プロセスの半分以下の時間で接合が可能であることを確認した.

 4.参考文献
 (1) 鴇田正雄,“ 最近のSPS 動向と生産への応用”,第23 回通電焼結(SPS) 研究会 講演要旨集,2018,pp.7-10
 (2) 鴇田正雄,“ 放電プラズマ焼結(SPS) 技術の接合加工分野への新展開”,溶接学会誌 第73 巻 第4 号,2014,pp.238-245
 (3) 青山斉,山本慎一,宮下幸雄,武藤睦治,” 超高温構造部材のための0.5Ti-0.07%Zr-Mo/ グラファイトの拡散接合”,溶接学会論文 第22 巻 第4 号,2004,pp.1-7
 
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