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役員寄稿
  「アフターコロナに向かって」 (第123号会報)
   日本新金属株式会社
取締役 秋田工場長
岩本 賢治

  昨年の5月、新型コロナウィルスの感染拡大による1 回目の緊急事態宣言が続く中、あるテレビ番組で「100 年前のスペイン風邪(インフルエンザ)の世界的流行から、何を学べるのか」について放送されました。ご覧になった方もおられると思いますが、このスペイン風邪のパンデミックにおいても、ウィルスが変異を繰り返したことにより当時の世界人口の3分の1 にあたる5億人が感染したこと、また毒性が強まり致死率が高まった可能性があること、世界的にも流行を繰り返し収束までに概ね3年を要したことなど共通点があり、新型コロナウィルスにおいても同様の変異が懸念されるとの指摘が紹介されていました。

 100 年前のことで現在とは社会環境や科学技術に違いはありますが、一旦収束しても感染拡大の波が数回発生していることやその波を抑えた際の行動制限解除の難しさ、治療薬やワクチンなどの対抗策がない中での感染防止対策(今で言う3密回避、集会や外出の自粛、マスクや距離を取ることなど)は、ほぼ現在と一緒です。番組を見た際は、「残念ながら、簡単に収束することはないのだろう」とは思いましたが、「先進国の科学技術の結集によって、おそらく治療薬やワクチンの開発も進むであろうし、感染防止対策を徹底して継続して行けば、少なくとも同じ結果にはならないだろう」と、期待半分で考えておりました。

 足元では日本でも本年2月からワクチン接種が始まったものの、いき渡るまでにまだ時間がかかるようです。変異前のウィルスへの有効性があるうちに今回のワクチン接種を終えられるのかどうか、今後の変異種ウィルス出現の速さに対して、後追いになってしまう有効なワクチンや治療薬の開発が追い付けるかが、今現在懸念される所です。

 企業活動や私生活においても、早く以前のような状態に戻れることを願っていますが、いつそうなるのか、未だ分かりません。当面私たちは人命第一で感染防止策を続け、企業活動を維持しながら、この環境下で生き残り、また社会の一員として、感染収束に向けて一致団結しこの制限された状況を克服していくしかありません。自分の周りの人たちの命を守り平穏を取り戻すための第一歩が、一人一人が基本的な感染防止の行動を意識・徹底することだと思います。私自身も家族もコロナ疲れが出てきていますが、もう数年間は続くものと割り切って、その中でストレス発散を考えていくしかないと思っています。

 グローバル化社会においては、最終的には世界全体でウィルスを封じ込めない限り、自分達の国に変異してまた強くなった感染症が戻ってきてしまうことが予想されます。自分達の国の感染を抑え込み、更に世界全体でも収束させていくことは簡単なことではありませんが、それをやり遂げることが海外との往来を回復し、再び経済を発展させることに繋がっていくのだと思います。

 また、感染収束したアフターコロナにおいても、数年前にもSARS・MARS があったように新興感染症が自然破壊や温暖化等により数年単位で起きるものだと覚悟して、今後の社会構造がどう変わるのか、既に変化し始めているニューノーマルにも合わせて企業活動を考えていく必要があります。スペイン風邪のパンデミックは、第一次世界大戦の戦後処理など世界政治にも影響を与え、その後も大きな変動要素となったといわれております。今回のコロナ禍も世界の政治や経済のパワーバランスに大きな変動を与える要素となっておりますし、現実に報道等でもその動きを実感する機会が多くなってきました。

 一方、特に今回のコロナ・パンデミック下において、かえって仕事の「本質」が見えてきた部分もあります。人との接触を制限された環境下では、結果的に限られた業務リソースを優先度が高い業務に充てざるを得なかったことにより、これまでの慣習から必要と思い込んでいた会議や業務が本当に必要なのか、何が目的なのか、「本質」を改めて考える機会になっていることです。 

 日常を振り返りますと、自分達は、「近視眼的に短期的な事しか考えていなかったり、相手の立場で考えず自分達の都合ばかりを優先してしまっていたり、仔細にこだわり過ぎていたり、本質からズレて目的から遠い事をやっていたり」と、恥ずかしながら案外思い当たる事がある気がします。また、「物事やニーズを多面的・客観的に捉えていなかったり、一歩引いて俯瞰的に考えれていなかったり」と、これは多様性やワイワイ・ガヤガヤがやはり必要だということなのでしょうが、自分の経験から得た一面的な知識でしか考えれていない事が多いのではないか、と思うようになりました。

 コロナによってこれまでの概念が変わろうとするこの機会に、「自分達は何を成そうとしているのか?」「本質的には何を果たすべきなのか?」「中長期的に考え重要なことは何なのか?」など、常に「本質は何か」、「多面的な視点から確かめ」、「中長期的な視点で」考えることを、改めて自分達に問い続けていきたいと思います。今後は大きく変化していくであろうアフターコロナに向かって、革新的な取り組みをやっていくことが必要になると思いますが、何か困難が発生しても間違った方向に行かない様、自ら気付き修正していける様、常にこれらの視点を持ち、新たな革新の取り組みを続けられるよう努力していきたいと思います。

最後に、日頃から私たちの健康を守って下さっている医療従事者の方々に改めて感謝申し上げますとともに、不幸にも感染症に罹患され亡くなられた方々に、心からお悔やみを申し上げます。このコロナ禍への対応においても立場や意見は様々であり、何を優先すべきなのか、皆が満足する本質的な解を見出すのは本当に難しいと思いますが、是非この世界的危機を皆の知恵や力で乗り越えて、会員企業様と共に「明るい未来に向かえられる」ことを祈念しております。
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