Products
About us
Contact us

巻頭言
   「工業会活動への一提案」 (第123号会報)
 東芝マテリアル株式会社
代表取締役社長 青木 克明

 早いもので、会報の巻頭言の執筆はこれで四回目となります。2017年は自己紹介、2018 年には大阪北部地震や西日本豪雨、2020 年には新型コロナウイルスと工業会の役割について記載いたしました。また、2020 年会誌の巻頭言を振り返りますと、やはり皆様COVID―19 のことに触れておりました。もちろん昨年最大の出来事であり、職場・個人すべてで大きな影響を受けましたので、書かずにはいられない状況でありました。現在も第三波の真っただ中です。政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身会長からは、去年12 月には忘年会などに伴う飲食の場を中心に感染が広がったとして、今後、緊急事態宣言が解除されたとしても感染が再び広がるのを防ぐため、お花見などの宴会を控える必要があるとのコメントがありました。

 自粛疲れという言葉も蔓延していますが、医療崩壊を回避することはもちろん、周りの皆様の健康、そしてお客様のために自社の生産活動が継続できるよう、三密を避け、宴会を控える行動は継続してきたいと思います。出張制限や会食自粛等、不自由さはありますが、我々製造業に携わる者は、何とか生計を立てられていると思います。日頃お世話になっていた、飲食業、運輸業、ホテル等の業界は、大変な状況下に置かれているかと思います。早くワクチン接種が進み、それらの方々にまたお世話になれるような元の生活も取り戻したいものです。

 さて、コロナ禍にあっても、株価や金相場などは相変わらずの好調さです。そんな中、日本でもSDGs に注目が集まっています。ご存じとは思いますが、きっかけは2006 年、当時の国連事務総長のアナン氏が金融業界に向け、責任投資原則(PRI) を提唱したことにあります。

 つまり、機関投資家が投資をする際に、その会社の財務情報だけを見るのではなく、ESG[ 環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)] 課題を重視すべきであるという提言です。

 日本では、2010 年に世界最大級の機関投資家であるGPIF( 年金積立金管理運用独立行政法人) がPRI に署名し、その後日本企業は機関投資家から、汚染物質の排出状況や商品の安全性、供給先の選定基準や従業員の労働環境など、ESG にもとづく非財務情報の開示を求められるようになりました。これをきっかけに、投資を受ける日本企業の間にも、問題解決のプロセスであるESGをもっと考慮しようという動きが広まりました。このように、SDGs は企業にとって、ESG を考える上での大きな指標になっていることは皆様のご理解の通りです。

 SDGs の17 の目標の中で、我々会員企業に共通にかかわってくる代表的なものは、レアメタルなどの材料調達、省エネルギーあるいは地球温暖化対策等に関わることではないかと思います。

 レアメタルとESG などのキーワードでインターネット検索すると、オランダのFAIRPHONE 社についての記載を見かけました。紛争鉱物を利用せず、原料にフェアトレード認証の金を使用しているほか、コンフリクト・フリー材料、リサイクルされたプラスチックや銅を使っていることや、製品においても、カメラ、電池は交換可能であることなどの環境配慮も売りにしています。

 また、菅総理の所信表明演説では、「2050年までに脱炭素社会の実現」が宣言されました。宣言に続いて、「もはや温暖化への対応は経済成長の制約ではない。積極的に温暖化対策を行うことが、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換が必要」と明言されました。

 この他にもさまざま持続可能な社会の実現に関わることは多くあるかと思いますが、今回上げた事例や、首相の所信表明からもまさに待ったなしで検討すべき課題であると言えます。

 会員企業においては、それぞれ工夫した活動を進められているかと思いますが、SDGs 活動については、タンモリセミナーや会員勉強会などで紹介・研鑽しあうなどして、工業会全体の活動として取り組んでいければと思います。

 当工業会は、会員の退会やコロナ禍での活動変容において、変革が必要な年となったと感じております。地道な活動も継続・発展させながら、新しい活動の方向性も模索して、皆さんと一緒に業界および工業会を盛り上げていきたいと思っております。
目次へ戻る