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技  術
   「タングステン合線材の開発と特性評価」(第122号会報)
日本タングステン株式会社

中村 優佑

 1. 緒言
 本報では、タングステンに異種金属を添加したタングステン合金(W-Fe-Ni系)を線材化し、種々の特性についてタングステン線材との比較を行った。

 2. タングステン合金線材の製造
 W合金の焼結体に熱間塑性加工を施すことでタングステン合金線材を得た。焼結後のインゴットをスウェージング及びドローイングすることで、タングステン合金の組織は加工方向に延伸し、タングステン線材と同様の繊維組織が得られることが確認された(Fig. 1)。


           Fig. 1 熱間塑性加工によるタングステン合金の組織状態変化

 3. タングステン合金線材の特性評価
 3-1. ヤング率
 タングステン合金のヤング率は330GPaであり、タングステンのヤング率(411GPa)とSUS304のヤング率(193GPa)との間に位置することが確認された。尚、異種金属の含有比率を変えることでヤング率は調整可能となった。 

 3-2. 接合試験
 タングステン合金線材およびタングステン線材について、異種金属との接合性を評価した。評価方法として、ステンレス(SUS304)板に各線材を挟み、抵抗溶接して接合界面の断面観察を実施した。タングステン合金線材の場合、接合界面には空隙や隙間は見られず、高品質の接合状態が得られた。一方で、タングステン線材の場合、接合界面には全周にわたって空隙が多く見られ、良好な接合状態は得られなかった。タングステン合金は融点が比較的低いFeやNiを含むために接合しやすく、接合界面で一定の強度を有することができると考えられる。

 4. まとめ
 今回開発したタングステン合金線材は、ヤング率を調整可能、且つ線材同士または他の材料との接合が容易である材料であることが確認された。従来のタングステン線材と比較して、使用するタングステン粉末量を低減することができることから製造コスト(原材料費)の削減が期待され、またタングステン線材と比較して線材同士または他の材料との接合性も向上するためにエンドユーザーでのアッセンブリが容易となる為様々な用途への展開が期待される。
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