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巻頭言
   「コロナ禍での五輪選手たち」 (第121号会報)
 日本新金属株式会社

取締役社長 岡田義一

 本会報を執筆している今は9月初旬ですが、まだまだ各地で残暑と言うには厳しい猛暑日が続き、コロナ対策のマスク着用が一層暑苦しさを増している毎日です。日本の感染状況も「いのちを守るSTAY HOME」などの国民の我慢強い緊急事態措置が功を奏し5月末には一旦第一波が収まったとホッと一息ついたのも束の間のことで、経済活動の再開と共に再び第二波が押し寄せ、8月上旬をピークに今は少し感染拡大が抑えられている状況です。

 このような状況の中、8月最後の週末に突如、安倍総理大臣が持病の悪化により辞任の意向を固められたニュースを見て驚いていたところ休日明けには既に菅官房長官が多くの派閥の後押しも受け次期総理の最有力候補となるなど政治の世界も目まぐるしく変わる熱い一週間でした。誰が次期総理になられてもコロナ禍の終息に向けての対策は最優先課題として取り組んでいただきたいものです。

 今回は何を書かせていただこうかあれこれと考えましたが、思い浮かぶのは毎日悩まされているコロナのことばかりで、しかしコロナ関連は4月、7月の会報で執筆されていますので重複を避けることとし、本来なら本日(9/6)パラリンピックの閉会式の予定でしたので延期となったオリンピックに関連するアスリートについて触れてみたいと思います。

 今年のオリンピック延期では、メダリストを含めたベテラン選手が相次いで引退の決意を表明され、自国開催であっただけにそれぞれの選手の悔しく思う気持ちを察すると遣る瀬無い思いがいたします。例えば、前回のリオデジャネイロ五輪で金メダルに輝いた女子バドミントン「タカマツ」ペアの高橋礼華選手(30)、ロンドン五輪で銅メダルを獲得し女子バレーボール界をリードしてきた新鍋理沙選手(30)、国際大会では30個以上のメダルを獲得(金メダルも14個含む)、しかしオリンピックでは北京五輪の4位が最高で今度こそはと跳び続けてきたトランポリンの外村哲也選手(35)などを始めとするアスリートたちです。「身体的にあるいは精神的にもう1年コンディションを保つのが非常に厳しい」と言うのが主な理由のようです。

 また、昨年のラグビー· ワールドカップで活躍した福岡堅樹選手(27)も「一度決めた医師を志すタイミングを先延ばしにしたくはない」という強い思いで7人制での五輪出場を諦め引退することになったとのことです。ラグビーのにわかファンとしては再びオリンピックでの活躍を見たいところですが、ご本人が将来に対して真剣に検討された結果なので温かく見守ることにしたいと思います。

 このようにオリンピック延期により理由は様々ですが引退され残念に思う選手もいる反面、この延期を一年準備期間が増えたとポジティブに捉える選手や今年であれば出場できなかった若い選手の台頭もあり、この面では色々と楽しみにできる部分もあります。最近、このコロナ禍の折、非常に勇気づけられたアスリートとして白血病を乗り越え短期間で奇跡の復活を成し遂げた水泳の池江璃花子選手(20)がいます。高校1年時にリオ五輪を経験した池江選手は翌年の日本選手権でエントリーした5種目全てに優勝し女子史上初の5冠を達成、天才スイマーとして2020年東京五輪での活躍も期待されていました。しかし、突如、昨年2月に白血病を公表、抗がん剤治療では「毎日吐いたし、1日に何度も涙した」、体重も10キロ減と言う想像もつかないような苦しい闘病生活を克服され年末には退院、今年の3 月にはなんとプールでの練習が再開できるまで回復されたそうです。まだまだリハビリ期間中で自身について「中学生の頃の体力」と評されているとのことですが、その池江選手が8月29日に行われた東京都特別水泳大会の50メートル自由形に復帰戦として参加、インカレ(日本学生選手権)の参加標準記録26秒86を大きく上回る26秒32で組1着と奇跡の復活劇で世間を大変驚かせました。池江選手の当面の目標は10月のインカレ参加とのことですが、その先焦らずに「第2の自分の水泳人生の始まり」として2024年のパリ五輪への参加に向けて再スタートしたいとのことです。日本オリンピック委員会(JOC)の中からは延期となった来年の東京五輪への参加を期待する声もあるようですが大病から1年半程で奇跡的な復活をされた池江選手には体調管理を最優先にしていただき焦らず自身が望む目標に向かって進んでいただきたいと思います。

 コロナ禍の状況下でオリンピックを延期してまで来年実施するべきなのかとの厳しい意見があることも事実ですが、池江選手のようにアスリート一人ひとりは五輪と言う最高の檜舞台に立つことを夢見て我々には想像もできない努力を積み重ねてきていることを考えると是非応援したいと思うと同時に、この世界中が苦しめられたコロナ禍に打ち勝った証としてのオリンピックを世界の人々と一緒に祝いたいとも思います。

 最後に私事で恐縮ですが東京五輪の聖火ランナーに選ばれていましたので是非来年、東京五輪2020が開催され、小さな一歩ですが自国五輪に直接参加するべく走らせていただければと願っています。
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