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技  術
   「金属積層造形技術を用いた高融点金属製品の開発」(第121号会報)
東芝マテリアル株式会社

溝部 雅恭

 1. 緒言
 近年、金属積層造形技術が注目を浴びている。従来の機械加工では困難な複雑構造の形成が可能な技術であり、その特徴を生かして航空や医療、自動車分野において急速に普及が進んでいる。現状、金属積層造形で使用される材料は、鉄鋼材料やチタン合金など融点が2,000℃以下のものが主流となっている。弊社では、タングステンやモリブデンといった高融点金属の積層造形技術の開発を進め、応用先の領域を拡大し新たな製品開発への適用を目指している。

 本稿では、製品開発への活用例として、放熱フィン付きX 線管用ターゲットの開発について紹介する。

 2.放熱フィン付きX 線管用ターゲットの設
 X 線管用ターゲットは、X 線管のX 線発生源として使用される製品である。ターゲットに加速電子が衝突することで特性X 線を放出する仕組みとなっており、電子が有するエネルギの大半は熱エネルギに変換される。使用中のターゲット表面は3,000℃近くの高温に達すると言われ、既存製品は熱による破損を防ぐための様々な熱対策が講じられている。

 今回は積層造形技術の特徴を活用し、既存品にフィンを付与して表面積を増やすことで放熱能力の向上を狙った。CAE を利用して設計したフィン付きターゲットは、伝熱解析の結果、フィンなしターゲットよりも短時間で温度が下がることを確認した。

 3.造形実験
 設計したX 線管用ターゲットを金属積層造形によって製作した。造形装置には400 W レーザを搭載したパウダーベッド方式の装置を、材料にはタングステン粉末を使用した。

 設計通りの造形体を得るためにはレーザ条件と粉末特性の調整が必要となる。基礎実験によって得たターゲットの造形に最適な条件で造形実験を行った。パウダーベッド方式の造形では、①金属粉末をステージ上へ所定の厚みだけ敷き詰める。②造形する部分にレーザを選択的に照射する。③金属粉末を溶融・凝固させる。という一連の動作を繰り返して造形物を得る。

 造形実験により得た完成品を図1 に示す。表側の電子衝突面は、造形後に機械研磨で仕上げた。適切な条件で造形することでフィンを付与したターゲットの製作が可能となった。 

 4.結言
 本稿では金属積層造形技術を利用した高融点金属製品開発の一例を紹介した。本技術により製品設計の自由度を高めることができ、タングステン・モリブデンの応用先拡大も期待出来る。今後も本技術の開発並びに新規アプリケーションの開拓を進めていきたい。

      
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