「 2019年の新年を迎えて」

タングステン・モリブデン工業会
理事長  岡田 義一

   2020年の新春を迎え、タングステン・モリブデン工業会会員各社様並びに関係各位の皆様に謹んでお慶びを申し上げます。
 皆様方には、平素より当工業会の諸活動に対しまして、多大なご支援とご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、昨年を振り返りますとまず思い出されるのは、一昨年同様に過去最大級の台風や豪雨などの自然災害の多い年だったと言うことです。17歳の若きスウェーデンの環境活動家グレタさんが世界の首脳を相手に気候変動の危機を呼び掛けていますが、毎年続くこのような災害を目の当りにしますとやはり地球温暖化が大変心配されます。全ての被災地が一日も早く復旧・復興されることを心よりお祈りいたします。

 また、経済に目を向けますと、米中貿易摩擦や中国経済の減速などの影響により、世界経済が大きく後退した一年となりました。12月の月例経済報告でも、景気は「緩やかに回復している」とされたものの「製造業を中心に弱さが一段と増している」と2か月ぶりに下方修正もされています。

 このように経済は厳しい一年でしたが、日本としては新天皇がご即位され新しい令和の時代が始まり、またラグビーのワールドカップ開催などで結構盛り上がった一年でもありました。

 次に2020年ですが、年末年始の新聞などに見られる経済界の方々の見通しでは、今年については色々な意見がありましたが、世界景気は悪化が一服し、国内景気はまだ懸念材料が残るものの、世界の景気は夏ごろから回復してくるとの意見も多くありました。

 一方、当工業会に関しましては、2019年暦年の出荷量(集計の関係で12月分を除く1月から11月までの11か月分)は、粉末を除くタングステン製品で対前年比90%、金額でも91%を示し、同モリブデン製品では出荷量は83%でしたが金額では90% の結果を示しています。どちらの製品も対前年比減少となっていますが、モリブデン製品は上半期に付加価値の高い製品割合が多かったためと推定されますが、金額は出荷量程落ち込まなかったようです。

 また、上半期に対する下半期の出荷量は、タングステン製品で98%、モリブデン製品で103%とほぼ横ばいの状況で、今年もしばらくはこの状況が続くものと思われます。

 ただ、昨年10月にイタリアで開催されたITIA(国際タングステン工業会)の年次総会では、我々タングステン業界の市況も今年の7月以降の下半期から緩やかに立ち上がってくるのではとの意見が多かったように感じましたので世界景気の回復同様、期待したいと思います。但し、年始からの急速に緊張が拡大している中東情勢の影響には注視する必要があるようです。

 このような状況の中、11月に東京で第31回となりました令和初のタンモリ工業会セミナー(幹事会社;東芝マテリアル社殿)を開催し、工業会の会員各社様とお客様を合わせ150名という過去10年間では最多となるご参加をいただいた盛況なセミナーとなりました。

 技術関連の特別講演ではNIMS の伊藤先生より「マテリアルズ・インフォマティクスの動向と課題」と題したテーマでご発表いただきましたが、まさに新しい材料の創造を加速する革新的技術として多くの方の関心を引いたご講演でした。また、会員企業様からも我々の取り扱う高融点材料と言う難易度の高い材料のプロセス開発や新製品開発に関する重要な技術テーマの発表が続き、活発な質疑応答も繰り広げられました。

 このようなセミナーを目にすると、いつも申し上げていることですが、タングステンやモリブデンは古くから知られ利用されてきた材料ですが他の金属にないそのユニークな特性により、まだまだ新しい機能を発現させ様々な用途を開発することが可能な材料であることを改めて感じた次第です。時代時代の新しいニーズを敏感に素早く察知し、マテリアルズ・インフォマティクスのような新しい技術も駆使することで、きっとその可能性を探求できるものと思います。

 最後になりますが、今年の干支は十二支の最初を飾る「子年」です。この年は「新しい運気のサイクルが始まる年」あるいは「繁栄の年」と言われています。また十干・十二支では「庚子(かのえ・ね)」と言う年らしいですが、この干支の意味も「新たな芽吹きと繁栄の始まり、つまり、新しいことを始めると上手くいく、大吉であることを指している」とのことです。色々と先行きの見通しにくい年ではありますが、当工業会もこの干支にあやかって新しい令和の時代でしっかりと存在感を示せるよう取り組んでいきたいと思いますので、皆様のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

 本年が皆様方にとりまして実り多い素晴らしい年となりますことを心からお祈り申し上げて新年のご挨拶と致します。

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