「タングステンの鍛造加工条件の検討」

日本タングステン株式会社
甲斐 雄祐

1. 緒言
 タングステンの丸棒や板材は抵抗溶接用電極として使用されている。
抵抗溶接用電極は、タングステン組織の制御により、様々な性能を発揮するため、安定した組織制御法の確立が求められている。
板材製造では、自由鍛造工程でのタングステン組織の制御が重要となる。

 鍛造加工の条件の最適化並びに、評価基準値設定を目的として、熊本大学と共同して、FEM 解析による鍛造加工条件の検討(メカニズム解析)を試みた。
 これまでの研究結果の一例を紹介する。

2.評価方法
ⅰ)加工温度の影響(円柱型インゴット)
 円柱型インゴットで、異なる温度下にて自由鍛造することを想定し、横断面に生じる応力分布をFEM により解析した。
ⅱ)エッジR 寸法の影響(直方体インゴット)
 直方体インゴットで、エッジ部のR 寸法が異なるワークを自由鍛造することを想定し、ワーク横断面に生じる応力分布をFEM により解析した。

3.評価結果
ⅰ)加工温度の影響(円柱型インゴット)
 600℃及び1000℃でのFEM 解析結果(中心を軸とした円周方向(θ方向)の応力分布)をそれぞれFig.1 に示す。
円柱型インゴットの自由鍛造におけるθ方向の応力は、側面部に強く生じていることが分かった。また、加工温度が低いほどθ方向の応力は強くなることが分かった。
    
     Fig1 円柱インゴットFEM 解析結果
       (左:600℃、右:1,000℃)

ⅱ)エッジR 寸法の影響(直方体インゴット)直方体インゴットで、エッジ部R=0 及びR=5.0 の場合のFEM 解析結果をFig. 2 に示す。
直方体インゴットの自由鍛造におけるθ方向の応力は、エッジのR がない場合(R=0 の場合) は応力の集中が発生せず、R 寸法がある一定以上の寸法になると側面部に応力が集中することが分かった。
    
     Fig. 2 直方体インゴットFEM 解析結果
            ( 左:R=0、   右:R=5.0)

4.まとめ
 実際に自由鍛造で割れが生じたワークの割れの状態及び内部組織と今回のFEM 解析結果とを照合した結果、双方が合致することを確認できた。
この結果より、FEM 解析によるタングステン材料の塑性加工を再現できることが確認でき、品質管理並びに、組織制御の条件設定に応用できると考えられる。