「 令和 新時代を迎えて」

東邦金属株式会社
代表取締役社長  小樋誠二

  皆様こんにちは、昨年より前任者に代わり、工業会理事を務めさせて頂いております小樋でございます。日頃から工業会の発展にご支援、ご指導を賜りお礼申し上げます。

 さて、2019 年5 月1 日ついに令和の時代が幕を開けました。わたくしは、昭和、平成とほぼ同じくらいの期間、それぞれ30 年と少しの人生を送ってきました。とはいえ、会社勤めの期間は圧倒的に平成が長く、平成に起きたトピックを少し語らせていただきます。

 まずは、照明分野です。平成での大きな出来事はCCFLという冷陰極管の封入部材に用いられるタングステン・モリブデン(以下WMo)のピンやモリブデンのカップ電極が液晶テレビの普及により飛躍的に伸びたということです。しかしながら、そのテレビへの使用期間は短く、あっという間にLED へと取って替わられWMoの出番は無くなってしまいました。これは、省エネというLED のイメージ戦略も原因の一端ではあったと思われます。省エネだけとってみればCCFL も変わらないか、それ以上との説もありました。

 自動車関連のヘッドライトとしてのハロゲン電球・HIDランプに関しても平成時代にLED が出現し今後LED 化が加速していくと考えられます。 集魚灯に関しては、サンマは裏切り者で、LED に集まるとのことですが、イカはまだ、ハロゲン電球・HID ランプにしか集まらないようです。 平成には家庭用の白熱球は製造中止に追い込まれ、WMo 製品はこの分野では確実に減少しています。

 ブラウン管テレビにおいてはカソードヒーターとして使用量の多かったレニウムタングステンは液晶テレビの普及とともに激減しました。電子レンジ用のマグネトロンに使用されるモリブデンは日本国内で製造され始めましたが、平成には韓国で製造が多くなり、中国への移管も進んでいきました。日本国内で製造されていたMo 部品は平成の初頭では隆盛を極めていましたが、平成の終わりにはその生産量は1/4 程度になっています。また同じマグネトロンに使用されるトリア入りタングステンに関しては放射性物質の規制から、製造が困難になり、ヨーロッパのメーカーも輸送の問題などから、製造中止となり、現在は中国がメインの生産国となってい
ます。特にマグネトロンに使用されるトリア入りタングステンはほぼ中国製となりつつあります。

 銅タングステン合金(以下CuW)は電気伝導性や放熱性に優れるという観点から接点材料や、電極材料として広く普及していました。平成に入り、パソコンの普及が進み、CPU の高集積化による熱放出のため、この放熱基盤として使用され始め、さらに光通信の普及によりその基地局などにこれらの放熱基盤が大量に使用されています。また今後も通信速度の向上により、これらの放熱基盤は伸びていくと期待されています。

 今まで述べてきた、材料は昭和の時代に開発され、平成になって、そのアプリケーションが開発され、平成の時代に終焉を迎えたものもあります。しかし、令和の時代を迎えてもさらに続いていくものもあります。

 家電関連の商品は次々と新しいものが売り出され、それに見合った材料が選択されています。WMoはその特殊な特徴から、代えがたい材料であるものに関しては、やはり今後も続いていくでしょう。国内製品も品質の安定において顧客からの要望は続いていくでしょうが、サンマのような裏切り者(ここでは家電の新商品設計者?)が出るとも限りません。

 昭和は主として材料開発を行い、顧客へ販売。

 平成は顧客からアプリケーション情報を入手し昭和に開発された材料を用いた部品の開発、販売。

 さて令和は??

 WMo の特徴、密度が高い、電気伝導性に優れる、高融点、電気を流せば簡単に発熱する、しかし蓄熱より放熱が得意などなど、もう一度原点に返った、商品設計が必要であるように思いますし、これらの特徴を活かした材料メーカー側からの新しいアプリケーションの開発、提案も必要だと思います。ただ、国内に残った製造者は海外の製品に関して少なくとも品質だけは有意であることが令和時代を乗り切れるように思います。

 ちなみに、当社は上記以外で大量にイカ(日本製にこだわるお客様)を食して(お客様のご要望に応えて)令和時代を乗り切ろうと思っています。。


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