「 2019年の新年を迎えて」

タングステン・モリブデン工業会
理事長  岡田 義一

  2019年の新春を迎え、タングステン・モリブデン工業会会員並びに関係各位の皆様に謹んでお慶びを申し上げます。
 皆様方には、平素より当工業会の諸活動に対しまして、多大なご支援とご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、昨年を振り返りますとまず思い出されるのは、自然災害の多い年だったと言うことです。6月の大阪北部地震に始まり7月の西日本豪雨、猛暑の8月、9月には北海道胆振東部地震や巨大台風の襲来などが続き、全ての被災地が一日も早く復旧・復興されることを心よりお祈りいたします。また、経済に目を向けますと、政府の12月の月例経済報告では景気回復期間が「戦後最長を誇る“いざなみ景気” に並んだ可能性」があるとの発表もあり、いくつかの不安材料はあるものの通年では概ね好調な一年だったと言えるようです。

 次に2019年ですが、年始の報道では昨年来より続く米中貿易摩擦による世界経済の減速を懸念する声が多く、世界の製造業に大きな影響を及ぼす中国の経済指標の一つであるPMI(製造業購買担当者景気指数)が好不況の節目である50を下回り悪化、さらに米アップル社の業績見通し下方修正など不安材料の話も多く目にしました。実際、これらを反映した年末より続く日経平均株価の下落や新年の外国為替市場での急騰する円高を見ていると不安な思いも感じます。

  しかし、新春の経済界の2019年度の見通しでは、不確実な要素が多いものの概ね前年度に比べるとそのペースは緩やかにはなるが0.9%程度の国内成長が依然維持されるとの見方もあり、是非、その見通しが実現することを期待したいと思います。

 一方、当工業会に関しましては、2018年暦年の出荷量見込み(12月分は後半5か月分の平均値を使用)は、粉末を除くタングステン製品で対前年比104%、金額では110%を示し、同モリブデン製品では92%、金額では102% の見込みです。どちらも原料相場の上昇を反映して金額では対前年比で伸びています。また、タングステン製品は前半に比較し後半の方が増加しており今年も引き続き期待できる環境にあると言えますが、モリブデン製品は、逆に7月以降の後半が前半と比較し減少傾向となっており今後の動向に注意が必要です。

 このような状況の中、11月に福岡で第30回のタンモリ工業会セミナー(幹事会社;日本タングステン社殿)を開催致しました。工業会の会員各社様とお客様を合わせ130名近いご参加をいただき、材料開発のテーマはもとより評価方法や加工方法、さらにアプリケーションの開発事例など多岐に亘る発表と活発な議論が繰り広げられました。このようなセミナーを目にすると、いつも申し上げていることですが、タングステンやモリブデンは古くから知られている材料ですが他の材料にないそのユニークな特性により、まだまだ新しい機能を発現させ様々な用途を開発することが可能な材料であることを改めて感じた次第です。

 新年の新聞を見ていますと新しい技術革新の話題が満載で毎年色々な横文字やカタカナの新語を目にすることも多く少し戸惑う時もありますが、今年その中の一つにあった「ディスラプション」と言う言葉には大変興味を持ちました。この言葉は「創造的破壊」と言う意味で、新しい勢力が既存の枠組みを壊し産業の勢力図が激変することらしいですが、従来の産業構造がいつ突然消滅するか分からない代わりに、新しい産業やそれをリードする新しい主役が現れる可能性も示しており、その様な場面ではきっと特徴ある我々のタンモリ製品が活躍できる場もあると信じています。

 今年の干支は「亥年」で猪突猛進と考えられる方もおられると思いますが、十干十二支では「己亥(つちのと・い)年」で、「来る将来に向けてステップアップする充実したタイミングにありながら調子に乗るとチャンスを逃がす年」即ち、「新しい時代の始まりに向けて課題を整理し、更なる飛躍を目指した基盤固めを行う大切な年」と言う意味があるとの事です。今年は平成から新元号に移る変遷の年でもあり、どんな「ディスラプション」があっても新しい次の時代にしっかりと存在感を示せるよう取り組んでいきましょう。

 本年が皆様方にとりまして実り多い素晴らしい年となりますことを心からお祈り申し上げて新年のご挨拶と致します。


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