「W繊維を用いた放射線遮蔽材の開発〜その応用と展開〜」

東邦金属株式会社
津田 泰志

 1. 緒言
 2011 年の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故以降、国内における放射線防護に対する意識は年々強くなっている。
 この事態に当社は、2013 年にφ 35[μm] のタングステン極細線を用いたメッシュ生地( 以下W メッシュ) で防護服など放射線遮蔽用製品の発表後も開発を継続し、W メッシュの応用品として、見掛け密度 約11 〜 15[g/cm3] と高い密度を持ちながら、柔軟性(= フレキシブル) を持ち合わせる、シート状でかつタングステン100%である【タングステンフレキシブルシート( 以下WFS)】を開発した。

 次に示す物性評価、放射線遮蔽能評価を行ったので報告する。

2.外観
 見た目からも柔軟性が伺えるが、板材の様な硬さは無く、丸めることが出来る。

    

3.性能評価
 WFS の性能評価として折り曲げ試験結果を挙げる。Photo-3 の概略図の様に90°の折り曲げを1 回として試験を行った300 回折り曲げた結果、Photo-4 の様に折り目すらつかず、元の形状を維持していた。

    

 比較として、0.11mm の純タングステンの板材は5 回と持たず破断した。
 ※折り曲げ試験は、
  JIS Z 2204 金属材料曲げ試験片
  JIS Z 2248 金属材料曲げ試験方法 を参照した。

4.放射線遮蔽性能
 2011 年末より続く共同研究先の名古屋大学コバルト60 照射室にてγ線、β線の放射線遮蔽性能評価を行った。また、都立産技研にてX 線の評価も行っている。
 X 線やβ線は非常に大きな遮蔽性能を示している。
 γ線も密度が大きい分、少ない枚数で一定の遮蔽効果が見られる。

     

5.まとめ
 タングステン繊維の生地以外の新しい用途の可能性の開拓として、柔軟性に富んだシート材の開発が出来た。従来の放射線遮蔽性能も確認出来、生地・シートの2 パターンで用途開発を幅広く進めて行きたい。

 また、タングステン100% なので放射線遮蔽用途以外への展開も期待されている。


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