「成都駐在を振り返って」

潟Aライドマテリアル
執行役員 深谷 芳竹

  私は10 年前の2008 年に中国駐在の辞令を拝命し四川省成都市で駐在員として4 年間勤務しておりました。北京、上海ならよく耳にする地名ですが、成都って中国の何処かご存じでしょうか?知らない人の方が多いと思います。北緯30度で鹿児島とほぼ同じ、東経104 度で地図を見ると西側の内陸都市で成都より西はもうチベットになります。
 中国と日本の時差は1 時間ですが実際は2 時間の時差が妥当だろうと思います。冬は朝8 時近くになってようやく明るくなるからです。2018 年3 月のインターネット情報によると「2017 年中国都市人口ランキング」では成都市の人口は約1405 万人で1 位重慶、2 位上海、3 位北京に次いで第4 位の大都市で東京都の1374 万人を超えています。

 しかし、在留邦人数は少なく約300 人とのことです。2008 年当時は成都に行くには上海や北京で乗り継いでいましたが、今は直行便も飛んでおりとても便利になっています。成都での仕事や生活は、多くの貴重な経験をさせて頂きましたので、その経験の一部と成都の魅力をご紹介させて頂きます。

 タクシー争奪戦:成都の繁華街(春煕路)にはイトーヨーカドーや伊勢丹があり、日本の食材や雑貨品は輸入のため割高ではありますが殆どのものが手に入るので週末にはよく買い物に出掛けていました。買い物帰りは沢山の荷物になるのでタクシーを使うことが多かったのですが、当時の繁華街近くでのタクシー乗り場では列を作って待つ人はほとんどいませんでした。
 いち早くタクシーのドアノブを掴んだ者、または乗って来た客が降りたと同時に乗り組んだ者が獲得する争奪戦でした。タクシーが来ると待ち客が一斉に群がり、タクシーのドアノブを目指します。私もその一人として群がるものの彼らのパワーが勝りゲットできません。1時間たってもタクシーを捕まえられず、諦めて2 時間かけて歩いて帰ったこともしばしば。
 あれから10 年、今はタクシー乗り場でこのような状況は無くなり列を作って順番を待っています。また、地下鉄も開通して市内アクセスは格段に改善されており10 年間の発展と市民生活の向上が感じられます。

 食文化:成都と言えば四川料理=辛い。ご想像のとおり辛い料理が多く成都人は辛いものが大好きです。「辛くないと味が無い、美味しくない」と成都人は言います。日本人の子供は辛いものはあまり食べられないのが一般的と思いますが成都人は幼少期から辛い料理を食べています。辛い料理もいろいろありますが、なかでも成都人が好きなのは火鍋です。「火鍋の本場はやはり成都」と言われているように、火鍋店は町のいたるところにあります。四川の気候は湿度が高く温暖であるため、辛い料理で発汗作用を促すと言われています。麻辣の真赤なスープがグツグツと煮えたぎり、そこに牛肉・豚肉・羊肉やウィンナー・魚・エビ・ジャガイモを入れていき最後に野菜を入れ、時には脳髄なども入れます。

 ドロドロした油のタレに自分の好みで調味料を入れてタレを作ります。私はオイスターソースを入れるのが好きで、真赤な鍋から真赤になった食材を取り出しタレを付けて食します。鍋の中には山椒の実が入っていて間違って食べようものなら口の中は痺れて大変です。火鍋はとても美味しいですが辛さに弱い私はハンカチ数枚を用意し汗を拭いながら食べていたものです。(本当は首にタオルを巻いて食べたいぐらい)

 酒:食事と言えばやはり酒。成都を語るのに白酒(バイジョウ)は欠かせません。中国の蒸留酒である白酒は50 度以上の度数のものが多く甘く濃い強烈な芳香を漂わせています。世界三大蒸留酒のひとつで有名な茅台酒(マオタイ)をはじめ8大銘酒と称され、そのうちの五粮液、剣南春、濾州老窖特曲酒、郎酒の4銘柄は四川省で生産されているそうです。
 その中で私のお気に入りは五粮液(ごりょうえき:wuliangye)です。五粮液は高粱、もち米、うるち米、小麦、トウモロコシの5種類の穀物を原料とすることから名づけられたとのことで四川省随一と言われる豊かな香りが特徴と言われています。但し、アルコール度数は52 度と非常に高いお酒です。
 基本的に乾杯の文化でありshot グラス(10 〜 15ml ぐらい)で飲み干し、会食では全ての人と酌み交わし交流を深めるのが礼儀で交流を深めるあまり何かを理由に3杯の乾杯を迫られることもあり、これが結構キツイ。
 また、ある人はshot グラスでは面倒と言い出し、日本で使われるとっくりのようなツボに白酒が入ってテーブルに置かれているのですが、このツボで乾杯を誘う人が現れます。
 この時は要注意!乾杯ではなく随意(Sui yi ご自由に・好きなだけという意味) と言うがなかなか許してくれません。こんな経験をした駐在員や出張の方も多いことでしょう。アルコール度数が高いので飲み過ぎや無理は禁物です。美味しいお酒は程よく飲むのが良いでしょう。

 煙草:中国人は良く煙草を勧めます。最近は会食の席では禁煙のところが多くなってきましたが、以前は会食の席では煙草を勧められることが多く円卓の隣や対面の人からも煙草が飛んできたものです。テーブルには煙草が3 本ぐらい並ぶことも良くありました。

娯楽:成都人は麻雀が大好きです。街中のあちらこちらで麻雀を楽しむ光景が見らます。食事の後はお茶を飲みながら麻雀やトランプで楽しむ。これが成都流です。

 観光:成都には沢山のみどころもあります。お客様や出張者をご案内するのが有名な「パンダ繁殖研究基地」で市街から1時間以内で行けます。パンダは中国で大熊猫(ダーションマオ)と呼びます。基地内には沢山のパンダが飼育されていて特に子供のパンダはとても可愛くてたまりません。
         
 また、三国志が好きな方には蜀の都である成都は魅力的なところだと思います。諸葛亮と劉備を祭ったところで成都武候祠がお勧めです。西暦180年から280 年ごろまでの中国の戦乱の時代における魏、呉、蜀の三国の争いを描いた物語である三国志は1200 人以上とも言われる登場人物の中で、もっぱら諸葛孔明の人気は高いようです。

今後も益々発展して行くだろう中国とどのように向き合ってビジネスを進めていくかは大きな課題であると思います。
その国や地域の文化を知り、そこで知り得た人と人との繋がりや経験はとても貴重であり今後も大切にしていきたいと思います。


会報目次へ戻る