「ご挨拶」

東芝マテリアル株式会社 代表取締役社長
 青木 克明

   このたび6/20付で弊社の社長を 拝命いたしました青木克明と申しま す。前任の小林より本会の理事を引 き継ぐこととなりました。今後、工 業会発展のため精一杯努めてまいります。ご指導ご鞭撻 のほどよろしくお願い申し上げます。

 私の略歴と今までの業務の中でのタンモリ製品との関 わりを若干ご紹介したいと思います。㈱東芝 生産技術 センターに入社し、半導体や液晶ディスプレイの生産技 術開発、特にプラズマを用いたドライエッングの業務に 長く携わってまいりました。その間、W薄膜のエッチ バックやMoW薄膜のエッチングなどスパッタなどのプ ロセスで作成された薄膜を加工する仕事でタンモリ製品 に関わりました1)。 開発だけではなく、実際に大分、北 九州、姫路、四日市、岩手、石川、深谷、シンガポール などさまざまな工場のプロセス立ち上げや安定化も行っ てまいりました。当時、本会の皆様にも間接的に大変お 世話になっていたものと思います。

 その後2008年に弊 社へ移籍して最初に取り組んだのが、Tiターゲットの 開発と量産化でした。それまではターゲットから作られ た薄膜を加工していたのですが、弊社に移ったとたん今 度はターゲットを製造する側になったのですから何かの 縁としか思えませんでした。その後、弊社のタンモリ製 品にも関わることとなります。その後、開発・技術部に 異動し、X線放出用電子管用ターゲット、トリエーテッ ドタングステン2)、可視光応答型光触媒3)、電池材料と してWO3 4)などに携わりました。その他X線シンチレ ータ、ファインセラミックスなどの当社製品全般にも関 わってまいりました。今回投稿を依頼され自分の仕事を 振り返ってみたのですが、かなりいろいろな場面でタン モリ製品に関わっており、お世話になったものだと今更 ながら感じた次第です。

 さて、3年前から知り合いの大学教授からの依頼で、 理工学部の一年生に「半導体プロセスの基礎」を年に数 度講義を行っております。頼まれた当初はどうしようか 迷いましたが、自分の勉強や整理も兼ね、お引き受けい たしました。資料作成のため、「だれでもわかる・・・」 とか「はじめての・・・」とか入門の本を買いあさりま した。電気系の学生とは言え高校を出たばかりの学生さ んへの講義ですから、やさしく、わかりやすさを念頭に 資料をまとめようとするのですが、どう頑張っても寝て しまうだろうというような資料しか作れず、また100 分という講義時間の割には内容が重くなってしまいました。しまいには、寝る学生がいてもいいやとの気持ちに なっておりました。

 どうしようか悩んでいたときに、「私 は企業から行くのだから、学生時代の生活や会社に入っ てからの生活、就職活動や面接のコツをまず話そう」と ひらめきました。また、インターネットを見ていると、 半導体工場内部や半導体工程を解説する動画があり「こ れは良い。私の話は補助的に使った方がわかりやすい!」 と気が付きました。結局、前半30分で会社生活や就職 面接などのこつや自分の学生時代の反省からマージャン ではなく勉強すべきだと言うような話をし、動画と解説 で50分の本編、最後の20分で試験を行うこととしま した。

 当初はだれも聞いてくれず、一人でPCに向かっ て話すだけかと思って覚悟していたのですが、最初の話 を始めたら教室が静かになり、メモをはじめ、約120 名の学生が真剣に聴講してくれました。試験に授業のア ンケートもつけました。私自身の話、就職面接のこつ、 学生時代は勉強が大事だ、動画はわかりやすかった、な ど毎回おおむね好評で引き受けてよかったと思っており ます。

 一方、最近グループ会社の幹部教育でVTRを見まし た。久留米警察署が作った安全啓蒙動画 、Invisible 5) で す。ハーバード大学の研究成果をもとに作成されたもの です。人間は見たいものしか見ないという話なのですが (関連の動画もYouTubeにございます。種明かしはいた しませんのでぜひご覧になってはいかがでしょうか?) 講義での学生の行動は、最初の話で会社や就職の話をし たことで授業に興味を持ち、そのため聞く(見る?)気 になったのだと思います。

  これから、タンモリ工業会に関わっていくことになり ますが、これからは、さまざまな仕事がある中でもタン モリ製品、タンモリ業界に興味を持ち、核心を見に行く よう努めてまいります。 また、東芝グループは現在、皆様に大変なご迷惑とご 心配をおかけいたしております。大変申し訳ございませ ん。予断は許さないものの我々としてはあらゆる方策を 進め事業の継続、拡大を進めてまいる所存でございます。        以上

【参考文献】
1) 東芝レビューVol.55 No.4 (2000)17-20.
2) 東芝レビューVol.69 No.2 (2014)57-59.
3) 東芝レビューVol.69 No.9 (2014)47-49.
4) Microelectronics Reliability 68 (2017) 86–90.
5) https://www.youtube.com/watch?v=VzmBBS1-7gM


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