「歴史と環境」

日本新金属株式会社
常務取締役 稲田 昭吾

  日本新金属(株)の稲田と申します。 当社で主に生産部門に携わっており ます。
 
日本新金属の流れを遡れば、1909年に粟村鉱業所の 創設者である粟村敏顕氏が山口県木和田鉱山(後に喜和 田鉱山に改名)にて重石を発見した事に始まり、1960 年に三菱金属鉱業(現三菱マテリアル(株))と旧粟村 鉱業所の共同出資によって誕生しました。2017年4月 には創立54周年を迎える会社になります。国内の製造 場所として、秋田県秋田市茨島の三菱マテリアル(株) 秋田製錬所内にある秋田工場と大阪府豊中市にある本社 工場を持ち、周期律表のWa、Xa、Ya族の炭化物、 ホウ化物、窒化物、ケイ化物、その他の粉末を主に製造 しているメーカーです。

 特に秋田工場は原料を湿式製錬 し、乾式工程を経て完成品である炭化タングステン粉末 までを一貫で製造している国内で唯一のメーカーです。 湿式製錬工程を有する秋田工場は、1997年に操業を開 始し、順次その規模を拡大しながら、スクラップから始 まるリサイクル及び鉱石等を原料とした一貫生産ライン を有したタングステン、炭化タングステンの生産に特化 した資源循環型工場となっています。2017年度も高付 加価値製品とリサイクル事業の生産規模を拡大する為に 高機能棟と名称された新棟を建設し、同年度後半からの 生産開始を計画しております。

 一方、本社工場は周囲を 住宅に囲まれた市街地に立地し、タングステン、炭化タ ングステンのみならず、上記の非酸化物系粉末やヘテロ ポリ酸といった化成品の生産をおこなっていますが、当 社の企業理念にも謳っている「感性のある粉末」をお客 様に提供し続ける為に新製品開発や製造技術開発を行う マザー工場としての機能も有しています。

  私たちのお客様は、当社製品を超硬工具や半導体用電 子材料、また触媒、医療向け等として御使用されてお り、多岐に亘っていますが、当社は原料メーカーとして その供給責任を担っている事も事実です。当社の会社方 針の中には「リサイクルを含めたタングステンの資源確 保」の項目があります。昨今、資源ブームの沈静化、中 国での過剰生産等による需給バランスの崩れにより、原 料相場は2014年から2016年年初に掛けて300$から 160$まで急激に下落し、今現在は一定の水準をキープ しています。これはスクラップによるリサイクル事業に とって非常に厳しい環境ではありますが、将来を見据え た資源確保の観点からも秋田工場のリサイクル事業拡大を確実に実施していく必要があるのみならず、安定し て廉価な原料ソースを確保する取組を継続していく事 が当社の使命と考えています。

  一方、製品に求められる特性については、その高融 点、高硬度、良好な熱伝導性・導電性を活かした「ナ ノ化」、「高純度化」、「均粒化」等の高付加価値の要求 が益々高まってきています。特にタングステン・炭化 タングステンについては、超硬工具用に微粒・均粒化、 半導体用として高純度化が顕著の様ですが、当社の強 みである一貫生産システムを最大限に活用した高付加 価値化を進め、従来以上にお客様のニーズに応えてい く事がタングステン事業の発展に貢献できると思いま す。タングステン事業は成熟事業と見る向きもあるか もしれませんが、ユーザーニーズには限りはありませ ん。私たちが価値を知らない特性、或いはまだ見出せ ていない特性を必要とされる可能性はまだまだあるは ずです。

  以上に述べてまいりました事業を継続・展開してい く為にも、企業運営にとって重要な事は、従業員の安 全衛生環境を向上させる事です。日本新金属(株)で も過去に休業・不休業災害が発生し、従業員の方が罹 災されました。その都度、対策を取ってきましたが、 残念ながら完全ゼロ災には至っていないのが実情で す。ゼロ災を達成・継続する為に、作業の標準化、ル ール遵守、AT(アクティブトレーニング)による作業 標準の磨き上げ、指差し呼称等々、安全を維持する為 の施策・取組は、やり過ぎるという事はありません。

 日本社会は今後少子高齢化が更に進み、人財の確保が 厳しくなっていきます。企業としても効果的にスキル を身に付けた人財を育て上げていく為、また、チャレ ンジ精神に富んだ雰囲気を作り上げ、発展させていく 為にも、安全環境への取組は非常に重要な経営課題と なっています。今後も様々な機会、場所から得られる 安全に関する知識を取り入れ、事業の改善・改革に活 かしていきたいと思います。

 以上、とりとめのない内容で非常に恐縮ですが、日 本新金属(株)の紹介や事業環境、私が感じている事 を記載させて頂きました。 最後になりますが、タンモリ事業の更なる発展と皆 様の益々の御健勝を祈念致します。


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