「耐切創タングステン手袋の開発」

パナソニック ライティングデバイス株式会社
金沢 友博

 
1.はじめに

 タングステンは高融点・高硬度・ 高弾性・特異な化学特性などの特 徴からランプ用電極、自動車用点火プラグ、医療用カ テーテルや脱硫・脱硝装置などの用途にも使われてい る。

 当社は1948年のタングステン線の生産開始から白 熱電球、蛍光ランプ、自動車ヘッドランプ用フィラメ ントなどを取り扱ってきた。

 2008年に経済産業省より「省エネランプ等の普及 促進対策」が発せられたことを受けて、大手ランプメ ーカーは白熱電球の代替となるLED電球の生産をし てきたが、省エネランプの普及促進を目的として一般 白熱電球の製造を中止した。

 このような背景により、照明用タングステン線の生 産量は減少しており、新分野へのタングステン線の展 開が重要なミッションになっている。

2)タングステン線の新規用途展開

 厚生労働省の労働災害の統計によると、切れ・擦れ の発生状況は上位にあたり、耐切創手袋などの保護具 の着用が推奨されている。しかし現行の耐切創性が高 いものは、生地が分厚く作業性が悪いため、作業性の よい手袋が求められている。

 そこで、タングステン線の高い硬度を活かし、一般 繊維と撚り合わせて、生地の薄い耐切創手袋を作成し た。 生地の厚さを調整し、生地厚さ0.6mmで耐切創レ ベル5(EN388:安全保護具の機械的試験方法)の最 高ランクを確保していることが確認できた。これは現 在市販されている耐切創レベル5の手袋の中では最薄 の生地厚さになっており、素肌に近いフィット感が得 られ、作業性が良好で耐切創性に優れる手袋を作成す ることができた。

 EN388の切創試験は、対象となるサンプルを測定台 に固定し、試験用刃物に5Nの一定荷重をかけてサン プル片の上を往復運動させ、切断に至るまでの往復回 数を測定する。この測定を標準布と交互に数回測定し、 得られた値により耐切創性の評価値を算出する。〔第 1表〕に示すように最高レベル5を大きく上回る評価 値となった。

  また手袋としての実用評価結果を〔第2表〕に示す が、タングステン繊維入り手袋は、耐切創レベル以 外においても現行品より優位な結果であることが判っ た。
   

3)終わりに

 今回、用途展開として適用した作業性のよい耐切創手 袋が普及することによって、労働災害低減に寄与するこ とを期待する。

 


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