「2017年の新年を迎えて」

タングステン・モリブデン工業会 理事長
    北川 信行

 新年明けましておめでとうございます。
 2017年の年頭にあたり、会員 並びに関係各位の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上 げます。昨年6月から林前理事長の後を引き継ぎ、当 工業会の理事長を務めさせて頂いている北川でございます。約半年が経過致しましたが、その間多くの方々 からご協力とご指導を賜り、厚く御礼申し上げます。

  さて2017年、今年はどんな年になるだろうと思いを 馳せますが、世の中の状況は予想がつかない混沌とし た幕開けになりました。先ず、昨年を振り返ってみま すと年初からの世界同時株安に始まり、日銀によるマ イナス金利政策の導入という状況の中、安部政権は世 界経済が大きなリスクに直面しているとして、消費税 10%導入先送りを決定しました。さらに政府は8月 に事業規模28兆円超の経済対策を閣議決定するなど、 景気押し上げを図ろうと手を打っておりますが、その 効果はまだ限定的範囲にとどまっている状況のようで す。2017年においてはこれらの官公需の下支えの もと緩やかに景気回復基調が続くものとみられており ます。

 海外に目を向けますと、中国・韓国・ロシア等の近 隣諸国との関係も複雑化する一方で英国のEU離脱、そ して最大の出来事はアメリカ大統領選の大番狂わせ、 これらは直接日本経済の動向に大きく関わるとともに、 世の中の人々の価値観が大きく変化している事を感じ させます。企業を見ても大型の合併や買収が相次ぎ、 日本を代表する企業が外資の傘下に入るなど世界の経 済構造も大きく変化しつつあります、日本の少子化も 依然として深刻化しており生産人口も消費人口も低下 して行きます。これらの状況から、今は時代の大きな 変曲点にさしかかっており、近い将来大きな社会・経 済構造の変動を迎えるのではないかとさえ感じさせら れます。

 一方、明るい話題としては南米で初めてリオデジャ ネイロオリンピックが開催されました。日本選手も大 いに活躍し、史上最多となる41個のメダルを獲得し ました。最も記憶に残るのは男子400mリレーにお ける日本チームの活躍でありました。個々人の力から すれば予選すら突破出来ないかもしれないと言われて いた日本が何とアメリカを破り銀メダルに輝いたので す。まさにチームの力、団結力のなせる技と感動を覚 えたのは私だけではなかったと思います。磨きに磨いた1センチ単位のバトンリレーの技術が勝負を分けた のです。

 さて、当工業会に関しましては、タングステンは照 明のLED化、モリブデンは液晶関連部材の低迷など により依然として厳しい状況が続いております。当工 業会の統計資料によりますと2016年度上期は前年 同期比タングステンは97%、モリブデンは89%の 出荷量に留まりました。しかし直近の15年度下期と の比較では、タングステン、モリブデンともに107 %となっており、ようやく底を打ち僅かですが反転回 復基調になったとも見て取れます。このような状況の 中で昨年11月に東京で第28回の技術セミナーを開 催致しました。工業会会員各社とお客様を合わせて 140名を超える参加を頂きました。技術開発、用途 開発、資源情報や雇用への取り組みなど様々な発表が あり、今の状況は厳しいですが、当工業会の将来は明 るい希望があると実感をさせられました。

 世の中の価値観が大きく変化する中で、どこに活路 を見出すか非常に難しい状況にあります。その中で、 変わらないのは技術であり中でも優れた材料の価値は 不変であります。これが当協会最大の強みです。タン グステン、モリブデン、これらの特性は他に代わる物 の無い優れたもので、世の中に不可欠であり、そして まだまだ新しい機能を引き出せる可能性を秘めていま す。私どもがやるべきことは、この優れた材料をベー スに、その特性を最大限発揮させて新しい機能を極め、 加工方法等の周辺技術と組み合わせて真に世の中に必 要とされるもの、お客様の望んでいる製品を開発して、 それを日本の強みであるバトンリレーのようなきめ細 かい技術で作りこんで安定して供給すること、これが 混沌とした時代を生き残る最良のそして唯一の方法で あると改めて思う次第で有ります。

 さて、今年は丁酉(ひのと とり)の年です。酉の 由来は「果実が極限まで熟した状態」を言い、物事が 頂点まで極まった状態で学問や仕事などで成果が得ら れる年と言われています。また、酉年は商売繁盛に繋 がると言われ、酉は「取り込む」に繋がり、運気もお 客も取り込めるということです。 本年は運気や情報をがっちり取り入れて実りのある 1年にしようではありませんか。 本年が皆様方にとりまして素晴らしい年となりますこ とを心からお祈り申し上げて新年のご挨拶と致します。


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