「超微粒チタン系炭窒化物固溶体粉末の開発」

日本新金属株式会社
吉本 博

 
1.はじめに
 近年、W資源の中国依存度の高 さが懸念されている中、WC基超 硬合金の代替材料としてサーメッ ト合金の研究が盛んに行われてい る。サーメット合金の主原料とな るTi(C,N)粉末は粒度に加えC/N比、更にはWやMo を固溶させる組成も種々検討されている。また、これ らチタン系炭窒化物は高硬度・高融点であり導電性を 有することから、高温構造材料として期待されると共 に、セラミックス基複合材料や金属基複合材料のフィ ラー、導電性ポリマーへの分散相としても期待されて いる。 これらアプリケーションへの適用を目的に、日本フ ァインセラミックスセンター(JFCC)殿との共同で超 微粒の(Ti,M)(C,N)(M=W , Mo)粉末を開発した。

2.試験方法
 出発原料には各種酸化物とカーボンを選定した。特 にTiO2については超微粒粉末を目的としていること から約20nmの酸化チタンを使用した。これら原料粉 末を湿式混合した後、乾燥・成型⇒1400〜1600℃ で還元・炭窒素化反応⇒粉砕を経て(Ti,M)(C,N)粉末(M:Mo or W)を合成した。
  また検討事項としては
  @出発原料であるTiO2の微細化
  A反応温度への昇温段階における雰囲気ガスが (Ti,M)(C,N)粉末の物性へ及ぼす影響
  B添加元素であるMoやWの添加量が固溶体粉末 へ及ぼす影響
の3項目とし試験を行った。

3.結果および考察

  @20nm程度の微細なTiO2を原料に用いることで 従来より低温での炭窒化物固溶体粉末が合成可 能となった。
  ATiO2の反応時の雰囲気を非窒化雰囲気にするこ とで反応途中の粒子成長が抑制された。また添 加したMoやWも粒子成長を抑制すると考えら れ、約200nmの微粒かつ均粒、固溶状態も良好 な(Ti,M)(C,N)粉末の合成が可能となった。(図1
  BMo、Wの添加量に応じて(Ti,M)(C,N)粉末が 微粒化した。(図2)但しMo、Wの添加量が 30at%を超えると未固溶成分が見られたことか ら、今回の条件における均一固溶体としての添 加元素量は30at%程度が上限と推測される。

4.まとめ

  本開発により超微粒チタン系炭窒化物固溶体粉末の 合成に関し、出発原料の物性、還元炭窒化条件や固溶 元素の影響等多くの知見が得られた。 この超微粒チタン系炭窒化物粉末を使用したサーメット合金は微細な組織を有することから機械的特性の向 上が期待される。(図3)今後も得られた知見をもとに 高機能工具の素原料開発に取り組んでいきたい。

 最後に、共同開発を行ったJFCCの方々に感謝致します。




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